日曜の午後 「闘魂こめて」と「六甲おろし」

日曜の夕方になって娘がピアノに向かって何やら弾いている
 
同じフレーズを何度も繰り返しているので多分、課題曲の練習でもしているのだろう
 
そう思いながら私は挽きたての珈琲を飲んでいる。
 
しばらくすると娘は突然、ピアノを弾くのを止めて楽譜をめくりだした。
 
なにをするんだろう?
 
そう思いながら珈琲を飲み続けると突然
 
タンタタタンタタターン
タタタンタンタタータターン
 
と弾きだした。
 
私はそのまま黙って珈琲を飲んでいると娘はすぐに弾くのを止めて
またページをめくりだした。
 
今度は何を弾くんだ?
と思いながら見ていると娘が
 
ターンタタタターンタターン
 
とピアノを弾き始めた瞬間に
 
六甲おろしに 颯爽と 蒼天翔ける 日輪の 青春の覇気 美しく 輝く我が名ぞ 阪神タイガース
オウ オウ オウオウ 阪神タイガース フレ フレフレフレ~」
 
と私が勝手に謳いだす。
 
一番が終わると娘はまた楽譜をめくりだす。
 
何事か?と思いながら見ていると
 
タンタタタンタタターン(闘魂こめて~)
タタタンタンタタータターン(大空へ~)
 
と弾きだした。
 
私はまた黙って珈琲を飲んでいる。
 
すると娘は突然、ピアノを止めて
 
「お父さん!阪神ファンでしょ!」
 
と凄い顔で問うので
 
「違うよ~~~!俺は何処ファンでもないもん~!
さっきのは『闘魂こめて~大空へ~』だろ?」
 
娘は不服そうにまた
 
ターンタタタターンタターン
とピアノを弾き始めた
 
六甲おろしに 颯爽と 蒼天翔ける 日輪の 青春の覇気 美しく 輝く我が名ぞ 阪神タイガース
オウ オウ オウオウ 阪神タイガース フレ フレフレフレ~」
 
と私が一番を歌い終わると娘はすぐに
 
タンタタタンタタターン(闘魂こめて~)
タタタンタンタタータターン(大空へ~)
 
と弾きだした。
 
私はまた黙って聞いていると
 
「やっぱり阪神ファンじゃないか!!!」
 
と言いながらピアノを弾き始めた
 
六甲おろしに 颯爽と 蒼天翔ける 日輪の 青春の覇気 美しく 輝く我が名ぞ 阪神タイガース
オウ オウ オウオウ 阪神タイガース フレ フレフレフレ~」
 
そんな平穏な日曜の午後…